自衛隊配備、いいこと一つもない。
ないのが、一番。
与那国島〜石垣島〜宮古島のことに、思い切り触れてます。
3.18週間金曜日

書き起こし、変なとこありましたら、添付記事でご確認ください。
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週間金曜日 2016.3.18 (1080号)

 

内原 英聡

粗暴!先島諸島で”無責任な楽観論”吐く自衛官
「島嶼配備」計画の実態

 

沖縄の「辺野古」は日米同盟の不条理を象徴するがこれだけに留まらない。
防衛省主導の「島嶼配備計画」も島々の生活者に深刻な混乱を招いている。
憲法無視もいとわない防衛省職員の暴走。

追従する自治体の責任は重い。
沖縄県の最西端にある、”国境の島”与那国町。
本誌でも繰り返し指摘してきたが、ここでは陸上自衛隊沿岸監視部隊の基地建設にともない土砂が雨天のたびに流出し、海上を汚染している。
2014年春の着工から住民らは改善を求めてきても、防衛省側はほぼ意に介さず工事を強行した。
島外から500人超の作業員が人口1500人ほどの島になだれ込み、釣り具など、海浜での不法投棄ゴミも増えたという(注)。
3月末には”入隊式”を控え、今後は1600人規模が常駐する見通しだ。
「島嶼配備計画」は宮古島市(下地敏彦市長)や石垣市(中山義隆市長)でも進むが、現地では「友人や身内が自衛官という人もいる。政治的な発言はできない」(30代男性)といった声がある。

配備に向けた地ならし

自衛隊を強行配備する法的根拠を問う以前に、「それ以外の選択肢はない」との”空気”が各自治体のコミュニティを覆っている。
「戦争体験者」が減なか、石垣市では2010年、日本青年会議出身の配備計画の是非について「国の専権事項」だとして名言を避けているが、この”国の専権事項”についてはあいまいな点が多い。
与党の砥板芳行市議(写真)でさえ、「法的な根拠ってあるんですか」と本誌に吐露したのだ。
そうしたなか、たとえば昨年7月17日には陸自中央音楽隊による「演奏会」が石垣市市内で開催された。

自衛隊沖縄地方協力本部(地本)主催で、八重山防衛協会・自衛隊父兄会八重山支部が後援。

会場の市民会館では、「自衛隊に興味ありませんか」などと声がけをする職員がおり、市内の中学校や高校で実施された「演奏指導」もパネル展示されていた。
昨年の本誌10月16日号(24頁)で触れたが、沖縄では「資格」「貯金」「親孝行」といった誘い文句で、適齢者(18〜27歳未満)への自衛隊募集がなされている。

それで地本出張所の窓口はハローワークと隣接(宮古島市)、ビル一棟に同居(石垣市)といった具合だ。
「国」が生活のすみずみに入り込むことで、体制批判もままならない”空気”が作られてきた。

自衛官の無責任な楽観論

昨年9月6日、宮古島市中央公民館で配備計画の「説明会」が開かれた。地元の自衛隊配備推進協会議会が主催し、ごく一部を除いて非公開とされた。

ここで「説明」を担当したのは、陸上幕僚長を除いた自衛隊のトップ(陸将)に次ぐ幹部自衛官、山根寿一陸将補(右下写真)だ。

山根氏は今年2月15日に石垣市で実施された「意見交換会」(非公開)にも出席した。石垣市の場合は配備候補地に隣接する「開南地区住民の有志」が要望した会というが、この「有志」には推進派の友寄永三市議も含まれている(本誌談)。


当日の現場をスクープした『八重山毎日新聞』(2月16日)によると、〈出征記者の1人は「反対派が」言うように、自衛隊が配備されていると、標的になるのかの質問には、かえって標的にならない、避けられるという話だった」と述べた〉とある。
事実であれば、この「説明」の根拠は何か。


沖縄防衛局に訊ねると、地方協会確保室(企画部地方調整課)は報道室を通じて、「回答を控えさせていただきます」と答えた。
一方、山根氏は昨年の宮古島市で、「防衛省としての見解ではなまったくなく私一自衛官の立場で」としながら、「相手がいるところにわざわざ攻撃をしかけるバカはいません」などと気炎をあげていた。
防衛省はこの根拠不明の「説明」に、どう責任をとえるのか。

憲法無視”不当”な行政

山根氏の「持論」について簡潔に反論した人物がいる。石垣市で暮らす潮平正道さん(83歳)だ。
鉄血勤皇隊としてこの島で敗戦を迎えた潮平さんは、山根氏を「島の戦争を知らない浅はかな人」と一蹴した。太平洋戦争末期の沖縄で少年兵(現代の中高生にあたる学徒隊)として動員された潮平さんは、「武力攻撃などいらない。周囲は海。外からの物資調達を断てば終わり。軍隊も民間もはじめは食料を分け合うだろうが、戦況が悪化すれば奪い合いです。最終的には武器ももつ者が食料を奪う」と喝破した。そうして釘を刺した。
「日本軍が駐屯して島は攻撃目標とされた。だが軍隊は食料を奪い、マラリアの有病地帯に住民を追い込み、守ることはなかった」。
史実を無視するように昨年10月26日、「石垣島自衛隊配備推進協議会」(三木巌会長)が発足した。
推進派は「石垣島への自衛隊配備の魅力」(写真参照)なる小冊子を住民へ配布したが、冒頭に〈部隊配備は、住民の命を平和を守り抜きます〉とある。
出典の明記はなく防衛省の利用規約に反した資料等の無断引用もあった。
前出の砥板市議が作成し、「30部以上を自宅でプリントアウトした」と本人は言うが、”防衛省見解”と見紛うような構成だ。
石垣市議会は3月定例議会で、この推進協が昨年12月に提出した誓願書をめぐり、与野党のすったもんだを繰り広げた。
とはいえ同市も宮古島市も、いまだ全住民対象の「説明会」は開いていない。
経済界などごく一部の関係者が優遇され、情報も限定・非公式での共有が常だ。
3月4日、この2市に見解を求めた。石垣市は3月9日、「議会開催中につき回答は議会終了後に調整願いたい」(企画政策課)。
宮古島市の長濱政治副市長は同日、秘書広報課を通じて、「市民からの要請を受け、説明会等を行ったことに対しては評価します」と答えた。
防衛省や各自治体は、「全体の奉仕者」であることを忘れたか?

(注)「@moistchocolat」がツイッターで発信した与那国の現状。匿名だが筆者は本人連絡済。
市民による「琉球弧の軍事基地化に反対するネットワーク」もネットで情報を配信中。同名で検索すると閲覧できる。

うちはら ひでとし・編集部
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写真
宮古島市中央公民館で昨年9月6日に開催された「説明会」。
マイクを握るのが、沖縄地方協力本部の山根寿一本部長(陸将補)だ。
ごく一部を除いて当日は多数の市民が締め出されたという。
(宮古島映像PR Miyako-island運営のYouTubeチャンネルより)
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写真右/「石垣島自衛隊配備推進協議会」が昨年12月に作成し、配布したという小冊子「石垣島への自衛隊配備の魅力」の一部。(撮影/筆者) 
写真左/「正論」(今年2月号)で、自衛隊配備によって南西諸島が”不沈空母”になるとの見解を示した小野寺五典元防衛相(中央)。昨年10月に砥板芳行市議(右)が石垣島で出迎えたという。(砥板氏のFacebookウォールより)

小冊子は確か、宮古島で使ったのと同じだったはず・・
表紙のみ貼ります。

「宮古島ミサイル基地配備」について推進派三団体限定の勉強会
・三団体以外の市民への"締め出しの映像です。

宮古島市中央公民館にて。9月6日 2015年

宮古島賛成説明会「山根陸将補の発言、明確な憲法及び自衛隊法違反」( 4分 )

沖縄防衛局、自衛隊賛成派に説明会 

一般市民を排除し、非公開で行われました。
自衛隊協力会、隊友会などいかにも動員された100名足らずの市民だけを招待状で選別し、小出しの配備計画と「仮想敵国はない」と言いながら、周辺­の危機をあるかのように煽る都合の良い説明会の全容です。

*講師は「防衛省の見解ではなく、一自衛官個人としての話」と念を押している。誘致派の自衛隊駐屯メリットはこの個人的な話を根拠としている。2015年9月6日

from good luck on Vimeo.